人間がネズミに追い出される!?
皆さんの中には、ネズミの仲間の「齧歯類(げっしるい)」の動物をペットとして飼っている方も多いでしょう。
この仲間には、ハツカネズミ、モルモット、ハムスター、そしてリスなど、可愛らしい小動物達が含まれています。
一部にはカピバラなどの大きなものもいますが、そのほとんどが小型で、現在世界中で最も繁栄している哺乳類のグループです。
そんな可愛らしい小動物達の近縁の仲間に、日本のある島の住民が追い出されそうになった事件が、過去にありました。
ネズミはどうやって島を乗っ取った!?
1、事件は昭和20~30年代の小さな島で
事件の現場は、愛媛県宇和島港から西へ15kmほど離れた「戸島」。
3平方キロ足らずの面積の島に、平成19年8月現在では164世帯・445人の人々が暮らしています。
段々畑で農業を営んでいたのどかなこの島には、昭和25年(1950年)当時は現在よりもはるかに多い、2500人以上の人々が生活していました。
そこへ、体長約20cmという巨大なドブネズミが、なんと海を泳いで島に上陸し、驚異的な繁殖力で増殖していったのでした。
2、ネズミ達はどこからきた?
元々、この周辺の島々にはネズミが多く、過去には実際にネズミに乗っ取られて無人島になった島もあるくらいでした。
戸島の隣の「ネズミ島」と呼ばれる無人島は、ネズミの被害を恐れた人間達が島を明け渡したから「ネズミ島」と呼ばれているという説もあるくらいですし、5kmほど南にある「黒島」ではネズミの被害で人々が農業を諦めたと言われています。
戸島も近隣の島々と同じように、ネズミに狙われてしまったのでした。
ネズミの増殖力は「ネズミ算式」という言葉が存在するくらいですから、本当に凄まじいものでした。
あっという間に増えたネズミで、「人々が歩けば足の上をネズミが走り、道路を駆け回るネズミの群れで道路がうごめいて見える」という状態となりました。
その数は推定で50万匹以上と言われました。
実に島民1人につき200匹という、とんでもない数です。
ネズミ達は、戸島の段々畑で栽培されていた芋や麦、トウモロコシ、大豆、小豆などの当時の主要な農産物や、イリコなどの干物をはじめとする水産加工品を食い荒らし、更には民家へも侵入して家屋や家具を齧った上、口にミルクの付いていた乳幼児を齧るなどの人身被害まで及ぼしました。
3、人間達の対抗策
この状況を、人々も黙って見ていたわけではありませんでした。
1951年に北宇和郡野鼠撲滅委員会が設立され、1955年には宇和今海岸地方鼠族駆除対策委員会が設立されました。
そして、ネズミ捕りやパチンコなどの道具による駆除、殺鼠剤などの薬品による駆除などが試みられ、更にヘビやイタチ、猫などの「ネズミの天敵」とされる動物を投入して駆除に当たりました。
特に猫に至っては「出陣式」まで行って送り込まれています。
人間も捕鼠奨励制度を設けてネズミの尾を1本5円で買い上げたり、栗のイガをネズミの巣穴に詰めたり、清掃を徹底するなど、考え付く限りの対策を取っていました。
子供たちが一生懸命ネズミを捕まえる姿が、目に浮かぶようです。
しかしそれでも、決定的な解決には至らず、「ネズミ騒動」は1963年頃まで続いたのでした。
最終的にネズミはどうなった?ネズミの退散
人々を苦しめたネズミの大量発生は、思わぬ形で終息を迎えることとなりました。
1963年頃になると、不漁により、この地域でのイリコの製造が廃業となりました。
更に時代は高度経済成長期を迎え、島を離れる若者が増えていきました。
段々畑を耕す者がいなくなり、廃業する農家が目立つようになっていきました。
これにより食糧難となったネズミ達は、最初は共食いを始めましたが、徐々に島から減少していきました。
食料不足で死亡したネズミもいれば、来た時と同じように海を泳いで去って行ったネズミもいたことでしょう。
後にこの「ネズミ騒動」は、椋鳩十「ネズミ島物語」、吉村昭「海の鼠」などの題材となり、後世まで語り継がれることとなったのでした。
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Nona

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